親が高齢になると、将来的に実家が空き家になる可能性が高まります。
しかし、「親が亡くなった後に考えればいい」と後回しにすると、トラブルや負担が増える原因になってしまいます。そのため、親が元気なうちに家族で空き家対策を話し合っておくことが非常に重要です。
①なぜ生前に話し合うべき?
✅親の意思を尊重できる
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空き家になる前に、家をどうするか家族で話し合っておくことで、「売ってほしい」「誰かに住んでほしい」「壊さないで残しておいてほしい」「孫に引き継いでほしい」など、親の本当の気持ちや希望を知ることができます。
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いざ相続したあとで「どうしたらよいかわからない」「兄弟で意見が合わない」と悩むケースも多くあります。生前にしっかり話しておけば、相続後のトラブルや負担を減らすことにもつながります。
✅急な対応で困らない
親が住んでいた家を相続したものの、何の準備もないまま売却や維持管理を検討しようとすると、時間や手間がかかるうえ、予想外の出費が発生するケースも少なくありません。
例えば——
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固定資産税や水道光熱費などの維持費がすぐに発生
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不動産の名義変更(相続登記)の手続きに時間と費用がかかる
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空き家状態が長引くと、傷みが進んで売却価格が下がる
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相続人同士での方針の違いにより、話が進まないことも
こうした事態を防ぐためにも、生前から家族で方針を話し合っておくことが大切です。「万が一のあと」ではなく、「今だからこそ」できることがあります。生前に話し合っておけば、手続きや税金対策をスムーズに進められる
✅相続トラブルを防げる
親が亡くなったあと、相続で多いのが「家をどうするか」に関する意見の食い違いです。兄弟姉妹間で「売る」「残す」で意見が割れること多々あります。
・住みたい人
・売りたい人
・残しておきたい人
…家族の数だけ考えがあり、事前に何も決まっていないと、話がこじれやすくなります。しかし、生前に親の意向を聞き、家族で話し合っておくことで、「誰が相続するか」「売却や管理はどうするか」などをあらかじめ共有しておけます。結果として、感情的な争いを避けやすくなるのです。
②話し合いで確認すべきポイント
✅親の意向を確認
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「実家を売却したいのか、残したいのか」を確認
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売却の場合 → 不動産会社に査定依頼
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維持する場合 → 将来の管理方法を具体的に考える(管理業者の利用など)
✅資産価値や管理費用を把握
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維持費や固定資産税の確認:「年間どれくらいのコストがかかるか」
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修繕費やリフォーム費用:「老朽化対策にいくら必要か」
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維持管理のコストと将来の売却益を比較し、どちらが負担が少ないか判断
✅相続や売却時の税金対策
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相続登記の義務化(2024年4月から)により、登記手続きが必須
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生前贈与や相続時精算課税制度を活用すると節税対策になる場合がある
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売却する場合は**「相続空き家の特例」**(3,000万円控除)の利用も検討
③親子で話し合う際のコツ
✅感情と現実のバランスを意識する
親は「思い出があるから手放したくない」と考える一方で、子世代は「維持や管理の負担を避けたい」と考えることが多いです。
→ 気持ちを尊重しつつ、現実的な判断ができるよう冷静に話し合いましょう。
✅お金と手間について具体的に話す
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売却や維持管理には費用がかかるため、コストを具体的に提示すると現実的な判断がしやすくなります。
例:「維持するには年間〇〇万円かかる」「売却すれば〇〇万円手元に残る」
✅専門家に相談する選択肢も
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話し合いがまとまらない場合は、不動産会社や相続コンサルタントに相談するのも有効です。
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資産価値や税負担を踏まえたアドバイスがもらえます。
まとめ
空き家は「思い出」と「現実」の狭間で悩むケースが多いため、親子で感情と費用面をバランスよく考慮することが大切です。
「売却」「賃貸」「維持」の選択肢ごとに費用やメリット・デメリットを整理しながら、お互いの気持ちに寄り添った話し合いを行いましょう。