【豊中市】空き家の状況とエリア別の特徴、今後の予測も
豊中市の最新の人口統計は、2020年11月1日現在の推計で、総人口401,591人(男性189,607人、女性211,984人)、世帯数179,032世帯となっています。
そんな大阪の中では人口が4番目に多く、人気の住宅地が連なる豊中市ですが、空き家の状況はどうなっているのでしょうか。
✅豊中市の空き家の現状
1️⃣空き家率
総務省が平成30年(2018年)に実施した住宅・土地統計調査によると、豊中市の空き家率は15.3%で、過去最高を記録しました。 この数値は全国平均を上回っており、今後も増加が予想されています。参考:大阪府公式ウェブサイトより
2️⃣空き家の分布状況
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戸建て住宅:市内全域にわたり空き家が存在し、空き家率は1.6%から2.9%の範囲で、大きな地域差は見られません。
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長屋および共同住宅:南部地域に集中しており、長屋の56.4%、共同住宅の42.1%がこの地域に位置しています。
3️⃣空き家の管理不全について
現地調査の結果、2,502件の空き家が確認され、そのうち約3%が「管理不全」と判断されました。これらの管理不全な空き家は、特に南部地域に多く見られます。
4️⃣大阪府における豊中市の空き家率ランキング
豊中市の空き家率は15.3%であり、これは大阪府内で10位、全国では323位に位置しています。
以下に大阪府内の主な市の空き家率ランキングを示します:
順位 | 市区名 | 空き家率 | 全国順位 |
---|---|---|---|
1位 | 吹田市 | 18.4% | 167位 |
2位 | 門真市 | 17.4% | 206位 |
3位 | 大阪市 | 17.1% | 227位 |
4位 | 守口市 | 16.9% | 240位 |
5位 | 柏原市 | 16.5% | 256位 |
6位 | 羽曳野市 | 16.4% | 259位 |
7位 | 東大阪市 | 16.3% | 265位 |
8位 | 泉大津市 | 15.7% | 301位 |
9位 | 高石市 | 15.5% | 311位 |
10位 | 豊中市 | 15.3% | 323位 |
このデータは、総務省統計局が実施した平成30年(2018年)の住宅・土地統計調査に基づいています。
✅豊中市における地区別の空家件数(令和4年度調査)
地区名(地域区分) | 空家件数(件) | 全体に占める割合 | 備考・特徴 |
---|---|---|---|
南部地域(庄内・豊南町エリア) | 570件 | 27.1% | 長屋や共同住宅の空き家が集中。管理不全の空き家も多い。 |
中北部地域(豊中駅〜蛍池周辺) | 562件 | 26.7% | 商業・住宅混在地で空き家が分布。利活用可能な空き家も多い。 |
北東部地域(千里ニュータウン・上新田など) | 364件 | 17.7% | 団地や集合住宅の一部に空き家、良好管理が多い |
北部地域(東豊中町など) | 263件 | 12.6% | 幹線道路周辺に空き家が散在 |
中部地域(岡町・曽根) | 208件 | 9.9% | 古くからの市街地に空き家が点在 |
東部地域(服部緑地の南側) | 105件 | 5.0% | 比較的新しい住宅地、空き家は少ない |
西部地域(工業系地域:庄内宝町など) |
以上の特徴から、南部や中北部地域で特に空き家が多いことが分かります。特に南部地域では長屋や共同住宅の空き家が多い傾向があり、豊中市全体の空き家対策を検討する上で、これらの地域に重点を置く必要があると考えられます。
豊中市は、こうした地域ごとの傾向を踏まえ、「空家等対策計画」を策定し、利活用・除却・相談支援などを展開中です。
✅地域ごとの対策優先度
以下空き家対策計画における優先度を示した表です。
地区 | 空き家の多さ | 管理不全の傾向 | 優先度 |
---|---|---|---|
南部地域(庄内・豊南町など) | 非常に多い | 高い(長屋・共同住宅型が多い) | ⭐⭐⭐⭐ |
中北部地域(豊中駅周辺) | 多い | 中程度 | ⭐⭐⭐ |
北東部地域(千里ニュータウンなど) | やや多い | 低い | ⭐⭐ |
東部地域(服部緑地南側など) | 少なめ | 低い | ⭐ |
北部・中部・西部地域 | 散在 | 低〜中程度 | ⭐〜⭐⭐ |
✅豊中市の空き家に関する主な課題
1️⃣管理不全空き家の増加
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約3%の空き家が「管理不全」と判定されており、屋根や外壁の損傷、草木の繁茂、ゴミの不法投棄などが発生。
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南部地域(庄内・豊南町など)を中心に、住環境悪化や防災・防犯リスクが高まっている。
2️⃣所有者不明・相続問題
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所有者が把握できない、もしくは連絡がつかないケースが一定数存在。
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空き家が放置される背景に、相続登記の未了や複数相続人による管理の難しさがある。
3️⃣長屋・共同住宅の老朽化
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特に南部地域に集中する木造長屋や小規模アパートが老朽化しており、再利用が難しい構造のものも多い。
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耐震性・防火性の課題が大きく、除却や再建には費用負担も課題。
4️⃣空き家活用のマッチングが進まない
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市が提供する「空き家情報提供事業」はあるが、登録数・成約数ともに限定的。
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所有者と利用希望者のニーズや条件のギャップがあり、マッチングの仕組みが弱い。
5️⃣地域コミュニティとの断絶
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長期間放置された空き家は、近隣住民との接点がないまま「孤立した存在」となり、地域のつながりを阻害。
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地域の空き家活用に対する意識も、エリアによってばらつきがある。
✅豊中市の補助金制度
「老朽化した空き家をそのままにしていて心配…」
「解体したいけど、費用がかさんで踏み出せない…」
そんな方におすすめなのが、豊中市の木造住宅等除却費補助制度です。ただ、今のところは豊中市全エリアというわけではなく、エリア指定があるので、解体したいエリアを事前に確認しておきましょう。
1️⃣木造住宅等の除却費補助
対象地域:主に庄内・豊南町地区
概要:老朽化した木造住宅の除却(解体)にかかる費用の一部を補助。
補助金額:除却工事費用の一部(詳細は市のウェブサイトを参照)
申請期間:令和7年度の受付は2025年4月1日より開始。
注意点:除却工事の着手前に申請が必要。
2️⃣木造住宅の除却補助制度(震災対策)
対象地域:市内全域
概要:耐震性に問題のある木造住宅の除却費用を補助し、震災対策を推進する。
補助金額:除却工事費用の一部(詳細は市のウェブサイトを参照)
申請期間:随時受付。ただし、予算に達し次第終了。
注意点:除却工事の契約・着手前に申請が必要。
3️⃣空き家等の譲渡所得の3,000万円特別控除
概要:相続した空き家を耐震リフォームまたは取り壊し後に譲渡した場合、譲渡所得から3,000万円を特別控除できる。
適用期限:相続日から3年を経過する日の属する年の12月31日、または令和9年(2027年)12月31日のいずれか早い日まで。
注意点:適用要件や手続きについては、税務署や市の担当窓口に確認が必要。
✅今後の空き家の状況(予測)
大阪府の中でも比較的空き家の多い豊中市ですが、以下今後の空き家の状況予測です。
1️⃣空き家数は今後も増加傾向
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豊中市の空き家件数は、2023年時点で 約2,100件以上。
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国の推計によると、全国的に2030年には3軒に1軒が空き家になるとも言われており、豊中市も例外ではありません。
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特に、昭和40〜50年代に建てられた住宅団地や木造住宅の老朽化が進行し、相続や住み替えによって空き家化が進むと見られています。
2️⃣高齢化と相続放置の影響
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市の高齢化率は2025年には約30%超に達するとされており、単身高齢者世帯の増加が背景に。
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相続が発生した際、「遠方に住む相続人が管理できない」、「権利関係が複雑で手がつけられない」などの理由で空き家放置が進む傾向。
3️⃣管理不全空き家の増加リスク
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現状でも**約3%(約60件強)**の空き家が「管理不全」とされており、今後はさらに増える可能性。
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これに伴い、防災・防犯・衛生・景観などの面で地域課題が深刻化する可能性があります。
✅まとめ
豊中市においても、日本全国の多くの地域と同様に、空き家問題が深刻化しています。人口減少や高齢化、住宅の老朽化などが主な要因として挙げられます。