築年数が古い物件の場合、購入当時の価格がわからないことがよくあります。特に相続や贈与で受け継いだ空き家では、購入時の情報が手に入らず、「売却しても所得税が心配…」という不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
実際、売却して得た利益(譲渡所得)に対して所得税が課税されるため、購入価格(取得額)が不明な場合、税額の計算が難しくなることがあります。しかし、心配は無用です!購入価格が不明な場合でも、推定取得額をもとに適切な税額を算出する方法があります。
✅不動産取得額を類推する方法
1️⃣相続税評価額を利用する
もし物件を相続した場合、その物件には相続税が課税される際の評価額が記録されています。
この相続税評価額は、推定取得額として使えることが多いです。相続税評価額は、相続時点の土地・建物の価値を示しており、購入時の価格が不明でも、その評価額を基に計算することができます。
🔹具体例:
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相続税評価額が記録されている場合、その金額を取得額として使用できる。
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相続税の申告書や相続財産明細書に記載されている相続税評価額を元に、推定する。
2️⃣当時の売買契約書を探す
過去に不動産を購入した際の売買契約書や領収書が残っている場合、それらに記載された購入額が取得額となります。これらの書類が紛失している場合でも、公証人役場や登記所で過去の取引履歴を確認できる場合もあります。
🔹具体例:
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購入時の契約書や領収書が見つかれば、記載された購入額を元に取得額を確定できる。
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登記簿謄本や公証人役場の記録から取引の詳細がわかる場合がある。
3️⃣近隣物件の相場を基に推定
購入時期が不明でも、近隣の類似物件の売買価格を調べることで、当時の市場価格を元に推定する方法です。この方法では、当時の相場を参考にし、購入時の価格を推定します。
🔹具体例:
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近隣で同じような物件が売買された価格や、その物件の取引時期を調べ、相場を参考にする。
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不動産ポータルサイトや不動産会社の過去のデータを使い、当時の相場を推測。
4️⃣過去の不動産取引データを調べる
不動産の取引データは、公的機関や不動産業者が保管しています。地価公示価格や取引価格のデータを元に、物件の相場の推移を調べることができます。このデータを使って、購入当時の相場から推定を行う方法です。
🔹具体例:
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国土交通省の地価公示や都道府県の地価調査など、公的機関が発表するデータを活用。
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不動産業者が保管する過去の取引履歴や資料を基に、購入時の市場価格を類推。
5️⃣建物の建設費用を基に推定
物件が新築であった場合、その建物の建設費用を基に推定することもできます。建物の建設費用に土地の価値を加えることで、取得額を推定する方法です。この場合、土地の価格や建物の建設年数も考慮しながら計算します。
🔹具体例:
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建物の建設当時の建設費用を調べ、土地と建物の価値を合わせて推定。
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土地の取引価格と建物の建設費用を基に、取得額を推定する。
6️⃣税務署への相談
もし上記の方法を試しても、依然として取得額が不明であった場合は、税務署に相談することが有効です。
税務署は、取得額が不明な場合でも適切な推定方法を提案してくれる場合があります。税務署では、過去の取引履歴や市場データを元に、取得額を推定するサポートを行っています。
7️⃣税理士に相談してみる
もし計算方法が不安な場合は、税理士に相談することをお勧めします。
税理士は、物件の購入時期や相場を元に、最も適切な方法で取得額を算定し、譲渡所得税の申告をサポートしてくれます。専門家のアドバイスを受けることで、税務の不安を解消し、安心して売却を進めることができます。
まとめ
もし、空き家の購入額が不明な場合でも、あきらめずに一つ一つ自分で調べてみることが重要です。それでも、行き詰まった時は、税務署や税理士に相談してみましょう。